【フリーランス】インボイス制度が意味不明なので、税理士に直談判した

確定申告,税金と法律

>インボイス制度が意味わからないので、税理士に直談判をしてみた

インターネットやワイドショーで話題になっている「インボイス制度」。

・インボイス制度でフリーランスが廃業の危機!

・インボイス制度が悪法だ!

と言われており、所属元のエージェント様からもインボイス制度のご案内が来たので、調べてみました。

が…どこもかしこも難しい用語ばかり!「適格請求書発行事業者?何それ?」と思った僕はお願いしている税理士の先生に直接聞きました。

こんな方におすすめの記事です
  • 消費税免税業者のフリーランス
  • インボイス制度何それ?という人
  • インボイス制度を調べたが力尽きた人

結論:1年分の総利益の消費税額のを払え

まずは結論から申し上げます。

(法改正が入るかもしれないので、確実ではありません。)

結論

IT系フリーランスは売上-経費=利益の消費税10%を払え

この結論のままではどういうことか分からないので、インボイス制度の詳細から説明していきます。

インボイス制度とはそもそも何?

まず、税理士の田中さん(仮名)曰く、インボイス制度を理解するには消費税を知ることからとのこと。

田中さん

消費税とは何か分かりますか?

ミヤ
みやじま

10%とか騒がれている税ですか?

田中さん

いや、間違いじゃないんですが、理解不足です。

消費税の仕組み

まず、消費税の仕組みを簡単に説明します。

個人事業主は取引先から売上+消費税を含めた金額を受領します。

そして個人事業主は確定申告の際に、消費税を税務署に納品しなければなりません。

取引先から売上と消費税を貰い、消費税10%を税務署に個人事業主が納税する

ここで勘違いしやすいのは、売上そのものに消費税が課せられるのではなく、

売上-経費を差し引いた金額(利益)に対して、消費税10%が課されます。

例えば、売上高1,000万円(内消費税100万円)、経費200万円(内消費税20万円)の場合、

100万円(売上高の消費税)-20万円(経費の消費税)=80万円(納税額)となります。

しかし、2022年11月現在、上記いずれかの条件に満たしていれば、消費税が免税されています。(免税事業者)

売上が1,000万円未満

開業後2年以内

また、取引先は個人事業主に報酬額を払う際に消費税も含んでおりますので、仕入れに係る消費税額を控除(仕入税額控除)を受けることができます。仕入税額控除が受けられないと、消費税を2回払うことになります。

田中さん

ちなみにみやじまさんは売上高から消費税10%を払うと勘違いしてたよ。

インボイス制度の仕組み

田中さん

さて、消費税の概要はわかったかな?

ミヤ
みやじま

わかったんですけど、僕は免税事業者だから関係ないですね

田中さん

その、免税事業者がインボイス制度のキーポイントなのよ

インボイス制度は国が「免罪業者からも消費税を徴収できるようにする」という制度です。

しかし、いきなり「来年から消費税徴収します!払わない人は脱税と見なし、●箱にぶち込みます!」

と国が言ったらそれこそ反感を食らいます。

ここでこの制度のミソになるのが、取引先が消費税を払うことによって受けることができる仕入税額控除です。

そのため、個人事業主の取引先に対して、ルールを設けました。

インボイス制度の概要

インボイス(適格請求書)がないと消費税を払ったことを認めません!

ちなみに、インボイス(適格請求書)については、国税庁の案内を抜粋します。

インボイスとは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項
が記載された請求書や納品書その他これらに類するものをいいます。

国 税 庁

○ インボイスを交付できるのは、インボイス発行事業者に限られます。
○ インボイス発行事業者となるためには、登録申請手続を行い、登録を受ける必要があります。
なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。

国 税 庁

つまり、消費税課税業者に登録しないと、インボイスに対応した請求書が発行できないということです。

適格請求書の事業者取引ではない=消費税を払ったと認めない=仕入税額控除は認めない

という見事な式が成り立つので、インボイス制度が始まった後を考えると、取引先は免税業者とは取引したくないよという考えになる可能性があります。(あくまでも憶測でしかありません。)

つまり、売上高1,000万円未満の個人事業主は2つの選択肢を求められております。

  • 仕事を切られる可能性はあるが、免税事業者のままにする
  • 課税事業者になり、インボイス発行事業者に登録してもらう
田中さん

つまり、お国は「免税業者のままでいてもよいけど、仕事なくなっちゃうよ?」と言っております。

適格請求書とは

適格請求書とはインボイス登録事業者のみ認められる請求書であり、

インボイス制度開始後は取引先はこの請求者があって初めて、仕入税額控除が認められます。

適格請求書の記載項目

請求書発行者の氏名または名称
取引年月日
取引内容
取引金額
請求書受領者の氏名または名称
軽減税率の対象である旨の表記
税率ごとに区分して合計した税込対価の額
税率ごとに区分して合計した税抜または税込対価の額および適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
請求書発行者の登録番号

詳しくは国税庁の説明をご覧ください。

まずやること:インボイス制度の登録申請

取引先に迷惑がかかる(可能性がある)のは少し嫌だったので、腹をくくって消費税を払う覚悟を決めました!

インボイス制度の開始予定は2023年(令和5年)の10月1日です。

免税事業者をやめ、インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)になるには、

・申告書の作成及び申請

・取引先に通知

3つの手順を踏む必要があるとのことです。

手順①:申告書の作成及び申請

まずは、申告書を作成します。

ここで言う申告書の作成とは適格請求書発行事業者の登録申請です。

2023年10月1日(インボイス制度開始)から適用を受ける場合は、2023年3月31日までに申請する必要があります。

紙で税務署に提出するまたは郵送する方法:適格請求書発行事業者の登録申請手続

e-taxで電子申請する方法:登録申請手続におけるe-Tax対応の概要

両方のパターンがありますが、e-taxによる申請が良いかなと個人的には思います。

ちなみに、2023年3月31日以降は消費税課税事業者届出手続も出さなければいけないようですが、e-taxでは申請できないようなので、できれば来年3月までに登録申請する必要がありそうです…

消費税課税事業者届出手続

登録番号における申請の手続き

手順②:取引先へ通知

インボイスの登録が済んだら、取引先に対して、登録番号や交付・受領方法の連絡を行います。

次にやること:簡易課税制度の申請

ミヤ
みやじま

消費税を払う覚悟はできました!でも所得税+消費税は結構きついです….

田中さん

甘ったれるな!!!貯金しておけ!…と言うのは少し可哀そうなので、いいことを教えよう。簡易課税制度を使いなさい。

簡易課税制度の概要

簡易課税制度とは消費税に対し、仕入額を売上額の一定割合(みなし仕入率)とみなして、受取った消費税から控除できる仕組みです。

前項で説明したのは、一般課税においての消費税計算式ですが、簡易課税の消費税の場合、計算式は以下になります。

一般課税

売上に掛かる消費税(10%) – 経費に掛かる支払消費税(10%)

簡易課税

売上に掛かる消費税(10%) – 経費に掛かる支払消費税(10%) × みなし仕入率

つまり、通常かかる消費税にみなし仕入れ率を掛け算して、消費税の支払額を減らせる制度なんですね。

簡易税制度の条件

その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります。

国税庁 No.6505 簡易課税制度

簡易税制度を受けるには、「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出をする必要があり、売上高が5,000万円未満の中小企業またはフリーランスの限定制度とのことです。

ちなみに、みなし税率は業種によって異なり、フリーランスは第5種事業に該当するので、50%です。

手続き方法や詳細

簡易税制度を受けるには課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

例えば、2023年10月1日から消費税課税業者になる場合、前日の2023年9月31日までに提出すればよいわけですね。

簡易税制度の詳細:簡易課税制度

提出書類:消費税簡易課税制度選択届出手続

まとめ

インボイス制度は以下3つがやることでした。

・適格請求書発行事業者の登録申請

・消費税簡易課税制度選択届出書の提出

・適格請求書を使う

まずは、適格請求書発行事業者の登録申請を行っていただければと思います。